光の中のアリス、2024

『光の中のアリス』が再演されます。

スペースノットブランク演出、出演は荒木千佳、伊東沙保、小野彩加、古賀友樹、東出昌大。

シアタートラムにて。チケットはこちらからぜひに。

https://spacenotblank.com/performance/alice

以下、再演にあたってのコメントです。

戯曲『光の中のアリス』は、2020年スペースノットブランク演出によりロームシアター京都で初演されました。
当時を生きる私の頭の中には、「こんなご時世に、舞台で、おとぎ話とは?(何事?)」といった問いが浮かんでおりました。
橋本治『チャンバラ時代劇講座』によると、日本映画は「ファンタジーが下手」で、逆に「現実と四つに組んだとき、一番の美しさを発揮する」そうです。そんな「ファンタジー」をこの国でうまくやっていたのは、映画でも演劇でもなく間違いなくアニメでした。アニメのような舞台ではなく、舞台をアニメートさせること。そんなことが可能だとして、それはどんな状態なのか。
想像力の限界をひしひしと感じつつ執筆しているさなかに参照したマーティン・ガードナー『詳注アリス』の序文には、「我々の生など説明不能な死刑宣告を受けて踊り狂うどたばた劇でなくて何か」とありました。窓の中に目を向けてみると全世界が新型のウイルスに翻弄されている真っ只中でした。
われわれのおとぎ話、われわれの生、われわれの舞台。翻って問われたのは、終止符のように援用されがちな「現実」とは何か、否定とともに容易に持ち出される「現実」に直面したとき、果たしてどんな(リ)アクションが可能か。でした。
4年が経ちました。目に見える変化と、目に見えない変化と、変わらない何かとが、それぞれすべてのクライマックスのごとく舞台上に上げられることでしょう。お見逃しなく。